借金依存症からの脱却

キャッシングをやめたいあなたへ~借金生活から卒業する方法

借金生活は「クセ」?それとも・・・

給料だけで生活できずに、キャッシングを繰り返し、気が付いた時には、多重債務者で、にっちもさっちもいかない状態になっていた。こんなパターンが恐ろしい勢いで増えている現代日本。不況で新卒者の就職もままならない中、仕事で急激に増収することも考えにくく、一旦借金地獄に陥ると、なかなかぬけだせない、というのが悲しい実情のようです。

そんな中、多くの人は「キャッシングをやめたい」と本気で願っておられるのでしょう。

ところで、そんなあなたの「借金を繰り返してしまう生活」は単なる借金癖によるものでしょうか?
深刻な事情があって、最初は、のっぴきならない状況から始まったものであっても、時間の経過とともに、それが、違うものに変質しているという可能性はありませんか?

借金そのものは、一つの法律的な手続きと言ってもいいものです。しかし、「借金してしまう行動」は、手続きや法律では片付かない要素があります。

自分の意志で止められない?

「借金がやめられない」という場合、第三者の目で見て、自分の借り入れに「不要不急なものはないか?」「借りなくてもいいものまで、借りたお金で処理しようとしていないか?」を確認してみる必要があります。もし、借りなくてもいいものまで借りていたり、大して必要性もないはずのことまで、借りたお金で処理するようなことをしていたら、次は、その時期を良く検討してみましょう。もしかしたら、「このままいけば完済できるかも」というめどの立った時期に重なっているかもしれないからです。

通常、借金が終わるのは喜ばしいはずのことです。しかし、繰り返し、「もうすぐ借金が終わるぞ」というタイミングで、新たな買い物をローンで買ってしまったり、家族や親せきのトラブルに首を突っ込んでみたり、突然車を買い替えるなどの謎めいた行動をしていたとしたら、それは、もしかしたら、「借金を返し続けるための借金」かもしれません。こうした場合だと、「どうして、お金を貯めてから計画的に借り入れないのだ。」と意見されても、屁理屈で逃げようとしたり、「自分でもよくわからない」と答えたりします。

こういうと、とても奇妙に見える行動は、もしかしたら、嗜癖(依存)が形成されていて、自分の意志ではコントロールできない状況になっている可能性もあるのです。

行動に依存する「借金依存症」とは?

アルコール依存症と同じように、借金にも依存症が存在することは専門家の間では20年以上前から知られていることです。アルコールやたばこ、薬物などの依存症を物質依存症と呼ぶのに対して、ワーカーホリックや、ギャンブル、借金、買い物、万引きなどの行動に依存するものを「行為依存症」といいます。依存症は、物質や行為の結果、脳の中の神経伝達物質の異常な興奮を定期的に得られないと我慢できなくなる症状であって、依存する対象は、必ずしも物質とは限りません。

依存症は、脳の神経と精神の病気です。たばこやアルコールが依存症になると自力で止めることが難しくなるのと同じように、借金依存症も自力で改善するのは難しく、一旦おちついたように見えても、ささいなきっかけでリバウンドしてしまいます。病気であって、クセではありませんから、専門的な関与がなければ改善は難しいのです。

借金依存から卒業するために

「いけないと思いつつも、借りてしまう、というような状態が続いていて、家庭が崩壊の危機に瀕しているようならば、それはご家族の問題では済まされません。依存症に関する見識のある医師に診察を受けるべきでしょう。しかし、行為依存を専門としている精神科は日本ではそんなには多くありません。ですから、まずは、各都道府県に1か所以上設置されている、精神保健センターに電話で相談を行い、借金依存についての対応が可能な医療機関や、自助グループを教えてもらうことから始めるべきです。

ご本人が、「何とかしなくては」という考えが起こるまでは、こうした依存の症状は、治療のきっかけをつかめません。家族がどれほど意見してもかえって悪化する可能性さえあります。しかし、ご本人も問題意識がないわけではありませんから、なるべく効果の大きい方法で、治療へ向かうようなヒントを出してもらいましょう。

お金を借りてしまうことそのものは、おそらくご本人のストレスや、辛い状況への発散方法の一つなのです。ですから、まずは、そうした問題に目をそむけないで、解決に迎える助力をしてあげる方法を探すほうが先決です。並行して、借金については、法律面からもアプローチをして、生活を壊さないで返済する方法を取っていくことも必要となります。